a.公害汚染防止
工場等から排出されるPM2.5等の大気汚染の防止や排水処理等、公害汚染を防止する機械、プラント、製品等を製造販売する産業。海外ではend of pipe産業とも言う。日本はかつて工業化に伴い深刻な公害が発生し、苦難の上に生まれた環境技術で、世界をリードする分野。工場の動きとも深く関わるので、日本経済(GNP等)や工業の動きと連動しやすい。
b.環境コンサルティング(建設コンサル系)
日本の建設コンサルティング業界に属する。公共事業に伴う設計、環境調査、環境アセスメントが多いので、国の公共事業の予算に左右されやすい。民主党政権時代は「コンクリートから人へ」の予算シフトで落ち込んだ業界だが、自民党政権となり赤字建設国債による未曾有の財政出動やオリンピック景気で現在は活性化と共に人手不足の状況。
c.環境分析
地方自治体や環境省による大気や水質の定期調査や各施設、民間工場から排出される排水や大気汚染物質の分析、震災後は食品や農林水産物の放射性物質の分析業務が増加。
d.再生可能&省エネルギー
震災後の2012年以降は、固定価格買取制度等による「再生エネルギー利用」の急成長に伴い、「クリーンエネルギー」分野の市場規模が大きく増加。2015年12月世界の国々が、気候変動に伴う温室効果ガスの削減に対する歴史的なパリ協定に合意したが、2017年米トランプ大統領がパリ協定離脱を宣言し、懸念材料となったが、欧州の国々を先頭に世界の脱炭素の潮流は変わらない様子。
ただ2019年末のCOP25に見られるように各国の削減目標やルールの合意が遅れている状況。
※1 固定価格買い取り制度(FIT:Feed-in Tariff)
エネルギーの買い取り価格(タリフ)を法律で定める方式の助成制度である。FITとも呼ばれる。地球温暖化への対策やエネルギー源の確保、環境汚染への対処などの一環として、主に再生可能エネルギーの普及拡大と価格低減の目的で用いられる。設備導入時に一定期間の助成水準が法的に保証されるほか、生産コストの変化や技術の発達段階に応じて助成水準を柔軟に調節できる制度である。適切に運用することにより、費用当たりの普及促進効果が最も高くなるとされる。世界50カ国以上で用いられ、再生可能エネルギーの助成政策としては一般的な手法となっている。 |
e.リサイクル&廃棄物処理
日本は工業立国からサービス業等の第3次産業の割合が増え、廃棄物も減少し、業界全体として日本のGNPの動きとも連動しやすい。ただリサイクル意識や技術の向上から、分野によっては、気鋭な成長企業も少なくない。また再生可能エネルギー事業等へと事業を多角化する企業や、AI IoTを使った無人分別プラントを開発する協会も立ち上がっている。近年では業務提携やM&Aにより、企業規模の拡大や効率化を図る動きもみられ、株式上場企業も増加している。
f.上下水、環境浄化&再生
上水道は、ほぼ全国蛇口から直接飲めライフラインとして世界最高水準の安全性と安定性を備えている。下水道は毎日の生活汚水や雨水を速やかに排除し、生活環境の改善と公共用水域の水質を保全する。近年上下水道業界は、M&Aや民営化を推進する法律等整備により、外資系企業が参入しやすい状況へ変換。
g.オーガニック
消費者の安全志向の高まりから有機農産物の需要は高まる一方で、それに伴う農家や商社も上昇傾向。
h.環境調和型材料・製品の製造・販売
「低燃費・排出認定車」・「ハイブリッド自動車」等の成長をはじめ、エコカーのみならず、全ての分野の分野で、省エネ、環境配慮、健康、有害物質の不使用に配慮した製品が拡大。リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞受賞した吉野彰氏もエコプロダクツを開発する意識だったと授賞式でスピーチ。
i.グリーンハウス&ビルディング
今年度環境省が最初に掲げている重要施策がネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等による住宅における低炭素化促進事業であり、一歩進んでいるネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)においては、既に多くの地域で成功している。ビル施設の電気や空調システムの進化や長寿命化の技術進歩も著しい。
j.その他
自然環境や生活環境対象の理系(生物や化学等)の環境コンサル以外に、シンクタンク、或は環境管理・IT・貿易・国際開発・経営コンサル系の環境コンサルティング会社がある。
ESG
※1投資とは、投資先の会社におけるEnvironmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの要素を考慮した投資のことで、2016年、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、ESGに積極的に取り組んでいる会社への投資に乗り出す準備の開始を発表し、将来的には数兆円の規模に膨らむ予測もある。世界全体におけるESG投資残高は約2580兆円。
※1 SDGs(エスディージーズ)を知ろう!
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年国連総会で採択された、2030年に向けて持続可能な開発へ世界を変革する行動計画と具体的行動指針。17の目標と169の達成基準からなる。その中で環境の分野の目標は下記6つ。